シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパッチン研究者の記録

シャコパンチの魅力

ザリガニの研究で博士になりました。今度は、アメリカで、シャコの素早いパンチの研究をはじめました。とりあえず、見てください。シャコパンチ。


Mantis Shrimp Smashes Clam Shell


こんなパンチが打てるのは、なぜ?


最大でシャコの体重の2500倍のパンチらしいけど、なんで後ろにふっとばないの?


そんな強いパンチでウデ壊れないの?*1


と、疑問はつきないわけですが、自分はアメリカに来て、「このパンチはどうやってコントロールされてるの?」という問題に取り組んでます。

ながーい表現だと、「このパンチは神経、筋肉の処理速度を圧倒的に超えて速いから、動き始める前に動きの準備しとかないとダメ。そして、動きをコントロールするには学習された記憶の読み出しに基づいた運動計画がシャコの脳の中で進んでいるはず。それはどうやって学習され、記憶が "どう" 読み出されて "どう" 動きが実現するの?」ということなんです。

アメリカに来たのは、今のラボで精密な計測から身体機構、運動機構のモデル化をみっちりやっているからなんです。

もともと、ザリガニみたいな小さな脳の中でも、自発的に歩きはじめる数秒前に活動する細胞があることを発見して博士になったので、いま取り組んでいる問題は似ているわけです。なんで、ザリガニとかシャコとかそういう動物で研究するのかというと、いろいろ理由はあるのですが、

「こういう、運動を準備する脳の機能とかメカニズムって、どの動物でもけっこう似てる? それじゃ、すごい極端な運動する動物だとどうか、それを確かめたいから」

というのが現時点での回答でしょうか。

似てる? ほんとう?と思われるかもしれませんが、ザリガニがけっこう似ていたことを受けて、「なんでザリガニと人間が同じような脳活動を示すのか」という質問で最近 PNAS に論文が出ました*2

「生物は最適なデザインを教えてくれはしない、ありうるデザインを教えてくれる」という某S先生の言葉が好きですが、一般性があるかという上の問い掛けをすると同時に、固有の生物を対象とすることで、思いがけない固有の発見はつきものですので、それが楽しみでもあります。