シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパッチン研究者の記録

細胞内記録を用いた論文,ふたつ

ヒルの行動の階層的決定の機構にかんするもの.

Behavioral choice by presynaptic inhibition of tactile sensory terminals
Quentin Gaudry, William B Kristan
Nature Neuroscience (4 October 2009) doi:10.1038/nn.2400

place cellでの細胞内記録を,仮想的な空間をトレッドミル上で移動中のマウスで行ったもの.

Intracellular dynamics of hippocampal place cells during virtual navigation
Christopher D. Harvey, Forrest Collman, Daniel A. Dombeck & David W. Tank
Nature 461, 941-946(15 October 2009)
doi:10.1038/nature08499

細胞内記録のいいところ

まとめると,以下の5つだろう.

  • 閾値以下のシナプス活動が記録できる
  • もちろんスパイクも記録できる
  • 刺激ができる(電流注入)
  • 破壊ができる(電流注入)
  • 細胞の形態がわかる(色素注入)

シナプス・スパイク活動は,脳の情報処理単位であるニューロンのいわば情報処理過程の実体とも言える.

細胞の外に電極をおいても閾値以下のシナプス活動はほとんど記録できない.シナプス活動はニューロン自身の活動のみならず,他のニューロンなどからの入力過程を反映する.

一方,スパイク活動は出力過程をほぼ反映する.

これらふたつがそろってはじめてニューロンの"計算"が分かる.

以上の記録だけではなく,システムに介入できる.電流注入は薬剤によって,ニューロンを直接操作できる.この介入によって,ニューロン活動の機能性(因果関係)に迫ることができる.

生理学の基本,記録,刺激,破壊(一時的な過分極電流注入など)が,電極一本でできる.

上記ふたつの論文はこうした利点を生かして実験が行われている.形態までは示してはいない.