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シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパッチン研究者の記録

論文紹介

研究室で毎週論文紹介をやっている.先端の研究論文をひとりが読んで,それを皆に紹介するというものだ.たいていの研究室でやっている.今日は僕の担当だった.

Functional Role of a Specialized Class of Spinal Commissural Inhibitory Neurons during Fast Escapes in Zebrafish

Chie Satou,1,2 Yukiko Kimura,1 Tsunehiko Kohashi,3 Kazuki Horikawa,4 Hiroyuki Takeda,4 Yoichi Oda,3 and Shin-ichi Higashijima1,2

The Journal of Neuroscience, May 27, 2009, 29(21):6780-6793; doi:10.1523/JNEUROSCI.0801-09.2009

Functional Role of a Specialized Class of Spinal Commissural Inhibitory Neurons during Fast Escapes in Zebrafish

ゼブラフィッシュの逃避行動において,ある特殊化した脊髄ニューロンが,どのような機能的な役割をもっているか,つまり,行動に直接どのように関わっているか,ということを調べたものだ.全体の印象としては,運動系における側抑制(lateral inhibition)ともいえるシステムだと思った.ざっくりまとめると,マウスナー細胞から,CoLo(Commissural Local)ニューロン,運動ニューロンという経路で逃避行動の最初の屈曲が形成される.このときに左右一対あるマウスナーが同時にスパイクを出して指令を送る場合がある.わずかな指令の時間差をCoLoが検出して,方向性のない刺激が来た場合でも魚はどちらか一方に逃げることが可能になる,という内容だった.


こういう仕事が可能なのも,特定の時期,組織でGFPを発現させて,細胞を再現性よく同定し記録するという方法に加えて,レーザーで特定の部分を破壊して行動に対する影響を評価するということができるようになったからだ.分子生物学的手法と行動生理学的手法を組み合わせてうまく特定ニューロンの機能的役割を明らかにしたといえる.明解だったし,実験事実に基いた回路モデルを提示していて,読んでいて楽しい論文だった.