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シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパッチン研究者の記録

「サイエンスにおいて重要のは,明解であることと重要であることだ」

こう,ある先生はおっしゃった.


「重要なことを明らかにする」のがサイエンスであると.それが重要であると.でも,重要であるというのは,これでは結局何なのか分からない.われわれには決められない,ということだろうか.明らかの内容にヒントがあるだろうか.


「明らか」という言葉はよく使う.似た言葉にはいろいろある.たとえば,明解というと,はっきり解るということ.重点は受け手にある.別の言葉で明晰というのもある.明晰は,情報の発信者に重きがある.そして明解と明晰は現象の解釈,意見について言っている.一意な意味,他の解釈が成立しないような解釈,意見.一方,明確という言葉がある.こちらは,事実について言っている.もっと言えば,客観的事実.


自然科学の学術雑誌は,事実を述べるResultsのセクションと意見を述べるDiscussionのセクション中核をなす.まず,Resultsありきで,そこで事実を主観を混じえずに,明確にする.次に,Discussionで一意な解釈を述べる.NatureやScienceといった雑誌は,一見区別するセクションはないようだが,パラグラフや言葉の使い方で明確に区別できるようになっている.しかし,このクラスになると,もはや事実だけで解釈は自明のことが多いので,Discussionは少ない.


ニュースなどで,つまらないことを面白く報道したいという思いから意見と事実を混同,ときにはすりかえられてしまうということがある.

カニの痛みの記憶の話ですが,あれは原題が"Pain experience in hermit crabs? "で,ジャーナリストはこれを"Crabs' memory of pain confirmed by Queen's academic"と書いており,そもそもタイトルに"?"はつけないのが普通ですが,すくなくとももともとは疑問形であり,著者らの「意見・議論」です.ニュースで,このクエスチョンが消えることが多々あり,ジャーナリズムの”意見”から”事実”のへの変換バイアスを危惧します.サイエンスの議論はある程度自由ですが,事実はたいていのジャーナルでは分離しており,科学ジャーナリストは分けて読まねばならないし,報道もすべきであると思っています.

報酬は,外在するもので,ある特定の行動の生起率をアップさせるものであると操... - id:WASSHOI - katsu - はてなハイク


一方で科学者にも,キャッチーな拡大解釈を含んだタイトルをつけて人の目を魅きたいということがある.このあたりの表現のしかたで,科学者の発表スタイルのようなものが違ってくる.ここでセンスが露見する.肝心なのは抑制力だ.抑制の効いたもののほうがシブくていいな,と最近は強く思うようになった.たしかに,そうすると分かる人には分かるシブさのように,一般からはなかなか理解されにくいもののなりやすいわけだが.