シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパッチン研究者の記録

「でも生物学には体系だった理論はないですよ」「それをこれからつくるんじゃないか」

よく物理学は,理論と実験が両輪をなしていて,観察事実に基づいた推論による予測から実験による検証というサイクルのおかげで学問としてパワフルになった,と言われます.では,生物学はどうかというと,物理学者の参入によって分子生物学が発展し,その兆候を示したかのように見えます.ところが,ゲノムプロジェクト,プロテオームプロジェクト,メタボロームプロジェクトといわれる,まずは徹底的に現象(というより,物質)を枚挙して記述するような研究が増えてきました.これはシンプルな法則を見出そうとする科学の営みに反対のようにも見え,批判もあります.しかし,生物を理解するためには,余すことなく事実を蓄積することは意味のあることです.そこで持ち出されるのが,多様性という言葉です.多様な生物を理解するには,シンプルな法則だけでは説明できない様々な現象を記述する必要がある,ということです.あるいは,法則を抜き出すにも,まずは余すことなく調べるのは前提となる,という言い分もあります.さて,僕のいる脳・神経系の研究では,神経科学というか,神経生物学というかで,このへんの微妙なふくみが表現されているように思います.僕はどちらを専門と言えばいいか?今の立場ですと,神経生物学というほうがしっくりきます.その中でも,動物行動と脳・神経系のはたらきに興味がありますので,神経行動学とか,動物生理学が専門です,などと言ったりするのですが,いや,どっちなの?というと,いつも,まぁ,どっちでもいいです,となってしまうのです.