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シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパッチン研究者の記録

小さな“脳”

「現代の生物学は膜派と核派に分かれる」というのは言い得て妙だ。自分は野党膜派のはしっこにいる。核派というのは、核内の出来事を扱う。核派というのは、そうした出来事の境界である膜での出来事を扱う。「生命の基本単位は細胞」と言われるけれども、細胞以外にも多くの器官が生体膜に区切られた“小さい生き物たち”がいる。そうした個々の小さい生き物たちがコミュニケーションをお互いに行う。膜派の仕事は主にこのコミュニケーションのメカニズムを解明することだ。自分は、神経細胞という小さい生き物のコミュニケーションのあり方を研究している。神経細胞という小さい生き物のいわば“脳”機能といえるシナプス統合作用の結果、そいつらがつくる大きな社会(通常の意味での脳)が、“どうやって生きる”ということを可能にするのだろうか?そういう問題の研究だ。膜派のはしっこと言ったのは、人間とはまったく異なるザリガニを実験対象としているからだ。卒論研究を選ぶとき、自分の方針は簡単だった。「ユニークな仕事がしたい」ということだ。気がついたらもう博士課程のどんづまり。ユニークすぎたかもしれないと後悔することもしばしば。あまり賢くなく、ぶっきらぼうで、のんびりしたザリガニをつついて遊んでいると、これって犬に似てくる飼い主と同じことなのだろうかと思った。