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シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパッチン研究者の記録

混乱と明瞭さのはざま

Stimulus〜刺激

先週は一流のサイエンティストのトーク、エピソードを聞く機会があった。また、研究とは直接関係のないだろうと思っていた本を2冊読んだ。そしてますます研究に対するやる気を増すことができたように思う。できるだけ早くアウトプットして評価を受けなければいけない。論文を書いている。実験もしている。基礎的なことを冷や汗をかきながら勉強しなおしている。トーク、本二冊がいい刺激になった週だった。それを振り返る。

Art〜混乱

読んだ本のひとつが、ブラックホールの科学(羽馬有紗)だ。実はこのひとは学部のとき水泳部の同期だ。だから、宣伝だと思ってもらってかまわない。

ブラックホールの科学

ブラックホールの科学


タイトルに“科学”とあるのだが、これはアートだな、と思った。


魅力的なイラストとやさしい言葉が次から次へと疑問を喚起した。告白すると、少々混乱した。擬人的に語られる言葉は一般の人たちに向けて理解できるようにと配慮されたものだ。しかし、どうしても“どうやってそれを知るの?なんでそう言えるの?”という疑問が次から次へと浮かんでくる。星の重さはどうやってはかるのか、見えないモノをどうやって観測するのか、など。どうしても“科学”としては“どうやるか?”が気になってしまう。好奇心をかき立てる本として十分成功している。そういう表現ができるのがうらやましい。だが、負け惜しみが入るが、どうやるのか、というHowの問題に対しては物足りなかった。それが、この本はアートだなと思った理由だ。

え?
katsumushi さんの本棚に私の「ブラックホールの科学」も入るの?

「The Cell」と一緒に?
イマヌエル・カントの本と一緒に??

ひゃー

(押し入れにしまい込まれることがありませんように・・・)

HABAAlisa - ブラックホールの本が刷り上がりました新聞


と返信コメントをいただいたのだが、この本は、上の理由により、エッシャーの画集のとなりに置くことにした。

Design〜明瞭さ

同時に、極東ブログで紹介されているシンプリシティの法則(ジョン・マエダ)を週末に読んだ。

シンプリシティの法則

シンプリシティの法則

著者ジョン・マエダ(参照)も、背をもたれて読んでほしいとしているが、ところどころで読者に思考を強いているようだ。

[書評]シンプリシティの法則(ジョン・マエダ): 極東ブログ


という言葉どおり、シンプルにまとめられているようで、無視されないコンプレキシティが脳裏を次から次へと浮かび、思考を強いる読書となった。何度か読み返したい本だ。上記の本とともに読んだため、アートとデザイン、そしてサイエンスしているだろう自分の位置を考えた。次の言葉に刺激された。

最高の芸術は疑問で頭を混乱させる。ことによると、これは純粋芸術と純粋デザインの根本的な違いかもしれない。すばらしい芸術は人を不思議がらせるが、すばらしいデザインは物事を明瞭にする。

なんとなくアートの中にデザインを含めていたのだが、そうではないのだと気づかされた。自己啓発されてしまったよ。

デザインかアートか、で、サインエンスは?

生物を研究している目的は何かと問われれば、受け売りなのだが「生物のデザイン(設計原理)を知るため」だと思っている。生物がどう生きているか、それはどのように可能かという問題に答えるためである。しかし、生物を観ているとその複雑さに混乱されっぱなしだ。いっこうにすっきりした姿が見えてこない。明瞭なデザインなど幻想ではないかと絶望的になる。事実、僕も去年までは絶望ばかり繰り返していた。しかし、あるとき点と点がつながった。論文という形で明瞭になった部分をまとめつつ、自然というアーティストが投げかけるさらなる難題に取り組まないといけない。混乱と明瞭のはざまで行ったり来たりする。