シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパッチン研究者の記録

問いを問う

さっき、以前見逃したポアンカレ予想の番組をニコニコ動画で観た。難問を立
てたポアンカレ。解いたペレリマン。関わった数学者たちが問いをあっちから
みたり、こっちからみたり、伸ばしたり、縮ませたりして答えに到達した。


面白いなと思ったのは、ジェットコースターのたとえ話。いわく、ジェットコー
スターは当然からまないが、地面に写った影は交差してからまっている。ポア
ンカレの問題は3次元の話だけれども、それを次元を高くしてからまない世界
から問い直そう、というもの。


あるいは、こういうのもあった。当のペレリマンは、より一般性の高い予想、
ウィリアム・サーストンの幾何化予想から解決に至った。


これらの厳密な論証の中身は分からないが、問いをどうやって変形させるか、
そして変形させても、またそこにどうやって戻ってくるか。数学という学問の
思考の柔軟性を思い知った。


末席ながら生物学の問題に取り組んでいるわけだが、一見するとこうした問い
の変形が通じないようにも思える。だが、過去の生物学者の取り組みをロール・
モデルとするならば、やはり、問いかけ自体を問うということが重要であるこ
とに気づく。


エリック・カンデルはアメフラシという入出力系がはっきりした神経回路を使っ
たから、記憶というものの正体に迫ることが出来た。これが、いきなり人やあ
るいはマウス、ラットで取り組んでいても不可能であった。記憶とは何か、そ
の普遍性は動物を限定せずに考えれられないか?という問いかけがあったと思
われる。


またホジキンとハクスレーはイカの巨大神経を使ったから、電極を二本も入れ
てボルテージ・クランプができた。そのおかげで、有名なホジキン・ハクスレー
方程式、さらにイオンチャネルの存在を予想できたのである。ここでも、生体
膜の活動、すなわちイオン電流を計測するのに都合の良い動物はなんだろうか?
という問いかけがあったと思われる。


上にあげたのは、あえてそういう例を挙げているきらいはあるが、生き物とし
てはなんでそんなもので実験するのか?と思えるようなもので実験される。だ
が、極言すれば、アメフラシやイカの実験がなければ、神経に作用する薬だっ
て開発できなかった。


「ある生理現象を解明するのに適した動物がいる」これをKroghの原理という。

Krogh's principle states that "For such a large number of problems
there will be some animal of choice or a few such animals on which it
can be most convienently studied."

Krogh's principle - Wikipedia, the free encyclopedia


要するに、道は、みみずやオケラやあめんぼや大便や小便にもあるという見方
で取り組まなければ、難問というのは解けないのだ。そういう確信を新たにし
た。