シャコ・エビ日記

シャコパンチ、エビパチン研究者の記録

朝三暮四

VHSテープ全盛の時代の米国のレンタルビデオ店での話。「見終わったあとはテープ巻き戻してから返却してください」とシールを貼っておいても、巻き戻さずに返却する人が多く、店としては頭を抱えていた。そのまま次の客に貸してしまうと次の客の気分が悪くなるし、店でいちいち巻き戻していては手間がかかって仕方がない。

 これを「マナーの問題」としてしまうと、ほぼ解決不可能な難問になってしまうが、この店では思い切ってルールを変更してしまうことにより、この問題をみごとに解決したのだ。

「半分空っぽのコップ」を「半分水が入ったコップ」に見せるテクニック

荘子に出てくる朝三暮四の話。

あれこれと精神を疲れさせて同じことをくりかえしながら、それが同じだということを知らないでいる。それを朝三と呼ぶ。朝三とはどいういうことかというと、こうだ。猿飼いの親方がトチの実をわけ与えるのに、「朝三つにして夕方四つにしよう、」といったところ、猿どもはみな怒った。「それでは朝四つにして夕方三つにしよう、」といったところ、猿どもはみな悦んだという。表現も実質も変わりはないのに、それでいて喜びや怒りの感情が働くことになった。荘子 第3冊 外篇・雑篇 (岩波文庫 青 206-3)

つまり、利用者は猿か、とか、「今もらう千円と一週間後にもらう千円とどちらがいいか」という質問と同じで、時は金なりという考え方はないのか、とか、つっこめるところはあるだろう。
ところで、似たような話。ライフセービングの講習を受けたときの話だが、心配蘇生法を施すのに、マウストゥーマウスがあるが、直接口をつけるのではなくて、口にかぶせるビニールのカバーがある。それは口をつけるのが誤解されるのを防ぐためではなくて、「感染防止用」の道具であるという。何だか、ただそういうふうに自分を納得させているだけのようにも思われる。空気感染する病気は伝染るし、とか、つっこめる。
また、「かわいい赤ちゃんねぇ〜」と触りまくる人に対してただ「触らないでください!」と言うよりも、「この子風邪をひいているので、触ると伝染るかもしれませんので、触らないでください」と言えばよい、という話も聞いたことがある。これも、触るだけで伝染るような赤ちゃんを連れ出すなよ、とか、つっこめる。
つっこみ力だとか鈍感力(スルー力)だとか、タイトルだけ本屋で目にしたが、つっこんでばかりでも、鈍感すぎても、ダメだとは思う。